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2005年 07月 25日
NHKの、21時のニュースでそう言っていた。
癌だったそうである。 詳細は不明だ。 昨年の中島らもさんの死もそうだが、日向子さんの死と聞いて、普通にびっくりした。 昨今では『お江戸でござる』の解説でおなじみ、という冠言葉がぴったりくるのだろうが、私にとって日向子さんは、やっぱり「江戸漫画の人」だ。 自分が長らく憧れていて、でも決して果たし得ない事を、自分と同年代なのにいともらくらくとやっちゃってる人。 そんな、ちょっと嫉妬と羨望混じりの印象を持っていた。 彼女のあまりの「江戸人」っぷりが鼻についてしまって、著作から遠離った時期もある。 最初に読んだ作品は『二つ枕』。 一読して、 「ええっ、この絵ってありなの!?」 と思った。コマの中で「浮世絵の人」が動いて、会話している。 「これがオリジナルってもんなの? コピーって言うんじゃないの?」 と、正直思った(笑)。 日向子さんの絵は、まんま浮世絵の無表情さ硬質さを脱して、少しずつ変わっていった。 絵には自信が無かったと、御本人が語っているのをかつて読んだ記憶があるけれど、『合葬』、『ニッポニア・ニッポン』、そして『百日紅』と、どんどん素敵になっていった。 『合葬』は、幕末という時代が青春であったティーンエイジャー(形骸化した徳川御家人の子供たち)が、どんなふうに生きて死んでいったかを、平易な視線で、哀惜を込めて見つめた物語。 新選組とはまるで違う、歴とした武士の子たちの「無為な若さ」が傷ましい。 日向子さんは『大江戸観光』の中で土方歳三の事を 「ミシンのセールスマンに見えなくもない」なんて書いている(笑)。 同じ項で私の大好きな遊撃隊・伊庭八郎や、彰義隊・春日左衛門など、江戸っ子が誇った幕末の美形も取り上げているが、どうも綺麗な男が苦手みたいで、本当は山岡鉄舟が大好きだという。 日向子さんの漫画の最高峰とも言える(勝手に言っちゃってすみません)傑作。それはやっぱり『百物語』でしょう。 『新耳袋』が出版されるよりもずいぶん前に刊行されたこの作品は、今ではもう気配を感じ取る事が困難になってしまった、しかし江戸の昔には確かにそこここに在ったであろうさまざまな怪異どもを捉えて、素晴らしく見事だ。 特に「其ノ九十六 フキちゃんの話」「其ノ九十七 愛娘の霊の話」は、読むたびにいつも泣けて泣けて。 単行本の「参」の巻に収められた、高橋治氏によるあとがきのタイトル「私の夢をくすねて行った」もまた秀逸だ。 たぶん、日向子さんを好きな多くの人が、彼女に対してそう感じていただろう事を、ぴしりと簡潔に言い当てていると思う。 私の食事するテーブルの上には、もうずーっと、新潮文庫の『風流江戸雀』が置いたままになっている。 日向子さんの訃報を聞いて、パッとその本を見た。 しかしいまだに現実味が無い。 葛飾北斎の辞世、「人魂で 行く気散じや 夏野原」。 こんな句が人生最期に詠めたらそりゃ最高だよなあ、というくらいのもん。 『百日紅』の主人公・北斎のように、日向子さんもまた、今夜、何処かの夏野原を、この野分に吹かれてふわふわと漂っているのかも知れない。 ★一夜明けて検索したら、いくつかニュース引っかかりました。詳細というほどのものでもないですが、日刊スポーツの記事です。
by red_95_virgo
| 2005-07-25 23:54
| 蓬屋日月抄
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Comments(10)
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たけし
at 2005-07-26 01:57
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中島らもの訃報。
高田渡の他界。 そして杉浦日向子の早世。 それぞれに私を打ちのめすに足る痛恨事でありました。 夭折と言って良いでしょう。 自分もまたほとんど変らない年齢でありますけれども。 祈り、かつ残された作品を追体験する。 出来ることはそのぐらいですが、 そのぐらいの事だけでもしようと思います。
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red_95_virgo at 2005-07-26 10:58
>たけし
自分には「勝手にリスペクトしてる年上の人」というのが3人いて、橋本治、中島らも、みうらじゅんなんですけど。 そのうちのらもさんが昨年の今日、逝ってしまって、昨日また、やはり憧れの先輩のようであった日向子さんが逝ってしまって。 自分の死も射程に入りつつあるなあ、と感じる昨今です。 蕎麦屋で酒でも呑んで日向子さんを偲びたいけど台風だから外出出来ないよ……。
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がんこ
at 2005-07-26 12:54
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日向子さんの急逝、昨夜Yahooニュースで知り私も驚きました。
一時期、日向子さんの漫画にはまり江戸を知ることに飢えていたこともあります。でも全然身になりませんでしたが。。 おっとりした口調で語る江戸の話は楽しかったな。 高田渡さんの作品は「自転車に乗って」くらいしか知りませんが、彼の死も何故かショックでした。自分の好きなもの(人)がいなくなることは悲しいことですね。 久しぶりに日向子さんの漫画、読んでみようと思います。
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カタリーナ
at 2005-07-26 22:17
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杉浦さんがご病気だったとははっきり知らなかったのですが、
例えそうだとしてもいつか必ず帰ってくると思っていました。 あの柔らかい語りと仕草に触れていると、 ゆったりと漂うように、この世を生きているような感じがしたので、 病んで亡くなるとは思えなかったんです。 これまでにソバの話しか読んだことがないので、 少し著書を本屋さんで探してみようと思います。 前から「合葬」には興味があったのですが、レッドさんの記事を読んでいたら、 まず「百物語」を読みたくなってきました。
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もも
at 2005-07-27 00:40
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「お江戸でござる」にご出演なさっていた杉浦さんの着物姿に毎回、惚れ惚れしておりました。帯の組み合わせ、小物の色遣いが非常におしゃれで、日常的に着こなしていないと出来ない技だなぁといつも感心していたものです。袂から垣間見える手首が今にも折れそうなほど細くて、華奢で可愛い方でしたね。。
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red_95_virgo at 2005-07-27 02:20
>がんこ
私は江戸〜明治初期の古写真を見るのが好きなんですが、日向子さんの『江戸アルキ帖』は、写真じゃないけど、 「ああ、ここってこの頃、本当にこうだったんだろうなあ」 という疑似体験をさせてくれる江戸風景集で、大好きです。 時間が許せば、往時と今の景色を比べながら歩いてみたいもんです。 >カタリーナさん 仰る通り、「癌」という病とは最も無縁な人ではないかという気が私もしていました。長生きして洒脱なおばあさんになる人だと思ってました。だから、 「日向子さんも死ぬのか」 と、ちょっと頭の悪い感想が最初によぎってしまいました(笑)。 『百物語』は、怪異について結局「何の説明も与えない」という、怪談はこうじゃなくっちゃというお手本のような作品です。哀切な話は哀切に、怖ろしい話はどこまでも怖ろしく。『合葬』と併せてぜひご一読ください。 >ももさん 日向子さんが呉服屋のお嬢さんだったというの、訃報で初めて知りました。さもありなん、という感じです。 長唄の先生がたもそうだけど、日常着物で過ごされている方は、着るというより「纏う」感じが板についてますよね。 ももさんのお着物姿も素敵でしたよ。今度またぜひ見せてね(笑)。
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中犬
at 2005-07-28 00:04
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江戸風俗研究家の日向子さんが好きでした。
季節ごとに『江戸アルキ帖』を捲り、春には野に吹く風を、夏には川面のすがすがしさを、秋にはもの悲しい夕暮れを、きりっとした冬を楽しんでいました。 闘病を知らなかったせいかまるでお好きな猪牙に乗り、日本酒でもやりながら、すぅ〜ってあっちへ行ってしまったような気がしています。
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red_95_virgo at 2005-07-28 11:37
>中犬
お暑うございます。 現実には言葉に尽くせないほどの闘病の日々があったろうと拝察しますが、生前日向子さんが書かれた作品にはそうしたものとは縁の無い、さらりとのんきな風情があって、読み返すとやはり、朝涼の中を猪牙舟であっちっ側へ行っちゃった、という感じがしますね。 『大江戸観光』『一日江戸人』『江戸へようこそ』など、日向子さんの江戸の本はたくさんありますが、私も『江戸アルキ帖』が白眉だと思います。 「この本は 江戸の町が 私達の町の すぐ隣に 有る気で 歩き 或る記に したものです。」 という序文が好きです。 「有る気で歩き或る記に」するというのが、つまりは日向子さんだったんだなあという気がする。 これ書いた時、この人30歳になってなかったんですよねえ。 つくづく、すごい人はすごい。
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boro9239 at 2005-08-02 11:46
町歩き好きには彼女のファンが多いです。始めて杉浦さんを見たのは10年ほど前、ビデオでしたが建築専門の講演会で杉浦さんが語る「江戸」の話は、その後の自分に少なからず影響を与える内容でした。その割に未だに杉浦さんの事はさほど詳しくないので、ちゃんと読んで見ようと思います。
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red_95_virgo at 2005-08-04 01:23
>boro9239さん
日向子さんが建築の講演会でお話をされていたというの、興味深いです。想像するに、長屋での生活とか、火事と住宅との関係とか、大工さんの仕事についてとか、そんなお話だったのでしょうか。 日向子さんの本を読むと、その文章のペースはまさに「歩く速度」「歩きながらの目線」だなと感じます。 ぜひ読んでみてくださいまし。 個人的にはやはり『江戸アルキ帖』(町歩きには必携)がおすすめですが、漫画では、北斎と娘・お栄の長屋暮らしを中心に描く『百日紅』も面白いです。
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