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2005年 06月 05日
『恋におちたら』の鈴木島男を見ていて、どうも別の誰かを思い出すなあこの人……と思っていたんですけど、
「そうだ、『G戦場ヘヴンズドア』の長谷川鉄男だ!」 と。 最近はあんまりマンガを読まなくなっちゃいまして。 過去からずーっと継続して読んでいて、この先も読み続けたいと思っているのは、とりあえず獸木野生(旧名・伸たまき)さんの「PALMシリーズ」と、清原なつのさんがこれから描かれる(かも知れない)作品ぐらいなものでしょうか。 ええ、所詮そんな無精もんなんですあたし(笑)。 でも、そうは言ってもやっぱりマンガが好きなので、心の底から「ああ、面白いなあ」と思える作品に出会えばそりゃあ嬉しい。 たとえば日本橋ヨヲコさんの『G戦場ヘヴンズドア』がそうでした。 2003年秋に仕事でマンガ書評対談を起こしていた時、辛口評論家2人が口を揃えてこの作品を誉めているのを聴いて次の日に即購入。本屋出たその足で近くのカフェに入って読み始めたら、もお、人目を憚るくらい泣けて泣けて泣けまして。 これは、2人の高校生の少年が、「マンガ」という戦場でペンを武器に斬り結んでいく物語。 と書くと、「なんだ、熱血マンガ家ど根性物語かよ」と言われそう(笑)。 勿論、そうした古典的お約束要素も外さず、かといって絵空事の「熱血」表現には堕さず、今の時代のビートをちゃんと刻んでいる。 「人ひとりが出来る精一杯」をきっちり描こうという高い志を持って、「人が本当に熱くなるという事はどういう事か」を、避けられない痛みや恥や死や汚濁から一切目を逸らさずに描き切っている。 そういうマンガです。 一度でもペンを手に持ってなにかを描いた事のある方ならお判りでしょうが、あれは言ってみれば、 「金属の尖端でがりがりと紙をひっかいて傷をつけそこに黒い液体を滲ませる」 という、一つ間違えば非常に痛々しいような、ある意味野蛮なような行為です。 マンガは描き手の頭の中で生産されるものではなく、描き手の肉体をぼろぼろに酷使した挙げ句に生まれるもので、そうしたものを私たちは普段たいへん気軽に消費しているとも言える。「そんなもの」を読んでいる事にあんまり気がつかずに済んでいるのは、やはりマンガがそれだけ読み手を幻惑する、蠱惑的かつ麻薬的な表現だからでしょう。 『G戦場ヘヴンズドア』の2人の主人公の1人、長谷川鉄男。 天才的なマンガの才能を持つ鉄男が、その未成熟な小さな肉体を傷つけ痛めつけながら物語を刻んでいく描写は、一人の男の子の、命ぎりぎりの怖ろしさを湛えています。 「トイレに行く時間が惜しい。」 「マンガという麻薬」に心身共に喰い尽くされながら、大好きだったマンガを今では憎悪しながら、そんな自分を嗤いながら、描き続ける手を止めようとしない鉄男。 『恋におちたら』の鈴木島男には、いくつか、この長谷川鉄男との共通項を見出す事ができます。 殺すべき怖ろしい父がいるところ。 生活苦ゆえにその天才で身を立てていこうとするところ。 彼に惚れる女が彼よりも長身であるところ(笑)、などなど。 島男と鉄男を比較するのはまったく馬鹿げた事なんですが、「市井の天才の変転」という事を考えていたら、『恋おち』→『G戦場ヘヴンズドア』に行き着いてしまいました。 当節のテレビドラマの多くがマンガ原作に拠るもので、ドラマ化を前提として企画されるマンガもあるという話も耳にします。 『G戦場ヘヴンズドア』はこの3月にNHKでラジオドラマ化されました(聴いておりませんけど)。作者日本橋ヨヲコさんには、この先これを映像化する意志がおありなのかどうか存じませんが、「マンガ」という表現をドラマにするのであれば、やはり映像化をして欲しいな、と思ってしまいます。 ただ、作り手と作り方を間違えると単なる戯画で終わってしまう危険も、十分に持っている作品です。 マンガという表現を選択したからこそ、読み手の心にこれだけの傷を残す忘れられない作品になるのだという事など、マンガを愛する人には勿論、言わずもがなの事ですけれどもね(笑)。 ★漫画家日本橋ヨヲコ公式サイト「週刊日本橋ヨヲコ」はこちら。
by red_95_virgo
| 2005-06-05 00:18
| book
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Comments(2)
昨年でしたか、何かの折にこの作品をお薦めいただきました。
すぐに全巻揃えて読了いたしました。 圧倒されました。 『恋おち』は全話通しては視ていないので、関連して論じる立場にはありませんが、 「天才」を持つ人が否応なく(望んで)落ち込む蟻地獄というもの。 否応なく(やはり望んで?)自らを傷つけ痛めつけてしまうと言うこと。 ただ、圧倒されました。 掛け値無しの傑作だと思います。
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Commented
by
red_95_virgo at 2005-06-06 01:35
>たけし
お読みいただいておりましたか、どうもありがとうございます。 『恋おち』についてかろひさんが『アマデウス』と書かれていたので、そこから「天才」に思い到って、この作品の事を改めて考えていました。でも『G戦』が素晴らしいのは、「天才」vs「秀才」「凡才」といったありがちな対比に終わらないからだと思う。「誰もが等しく自分の肉体を使って生きていく」という事を衒い無く見つめる作者の目に共感します。
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