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2006年 08月 26日
自分という人間は本を買いだすと際限が無くなる。もう、なんでもかんでも読みたい。洋服も化粧品も買わなくて良い、そのかわり一度本屋に行ったら1万円ぐらい使いたい。二日に一度は行くのでひと月で15万ぐらいか。15万も本に使えるのか。夢のようですそんなの。働かなくても食っていける結構な身分なら、一生なにもせずに本だけ読んで暮らしたい。
でも、そんな金はどの袖を振っても無い。 それに、「読みたい」が満たされてしまえばあとは要らない。 「本を所蔵する事」に対する興味はまるで無い。所蔵は簡単に死蔵になるからだ。 バカスカ買っては押し入れいっぱいに死蔵→大量リサイクルの繰り返し。 ここ10年ほどは反省して、「読みたいけど所有したくはない本」は図書館で借りて済ます事に決めています。図書館に無い本は、縁が無かったと思って諦める。 それでも、今日はがまんできずに2冊買ってしまった。 この人の場合、所有欲は無いのだが素通りができない。 『杉浦日向子の食・道・楽』(新潮社刊) 巻頭に「正しい酒の呑み方七箇条」というのがある。 一、酒の神様に感謝しつつ呑む 二、今日も酒が呑める事に感謝しつつ呑む 三、酒がうまいと思える自分に感謝しつつ呑む 四、理屈をこねずに臨機応変に呑む 五、呑みたい気分に内臓がついて来られなくなったときは、便所の神様に一礼して、謹んで軽く吐いてから、また呑む 六、呑みたい気分に身体がついて来られなくなったときは、ちょっと横になって、寝ながら呑む 七、明日もあるからではなく、今日という一日を満々と満たすべく、だらだらではなく、ていねいに、しっかり、充分に、呑む 以上。 私がときどき覗いている日本酒好きの男性のブログがありますが、そこのブログマスターは 「女子供は酒を呑むな」 を謳っています。ちんぽついてるぐらいでなにを偉そうに(笑)。そんな彼からしたら、「女子供」が「正しい酒の呑み方」を説くなぞ片腹痛いというところでしょうし、私も真っ向から「正しい××の仕方」というのを謳われると辟易する質。だが、これを読んでもあまり気には障らない。 どうしてかといえば、「酒を呑む」という事に惜しまず時間を費やしてきた人の人生に基づいた、実のある言葉だからだと思う。 酒でいろんな失敗を繰り返してきたし、友達なくしたし、それ以上にたくさん友達ができたりもしたし、差し引き 「ああ、酒を愉しめる体質で本当に良かった」 というところに来る事ができた。さしたる病気もせずに、ありがてえなと思います。この上は、いかに身体をこわす事無く長く酒と付き合っていけるか、折々に出会う一杯を(上出来な酒、そうでもない酒も)、「呑む」という行為・場面込みで愉しんでいけるか、だと思います。 そう思ってみると、この七箇条は、わりあいすっと身体に沁みてくる。 『食彩浪漫』に連載されていた、「酒器十二か月」という写真入りのエッセイも愉しいです。 旅行するとその土地土地の焼きものが気になって、ぐいのみだの馬上杯だのビアマグだの買ってしまうので、酒好きな人がふだん使っている酒器が気になるのです。 ちなみに今これを書きながら自分は何で酒を呑んでいるかというと、駒場の日本民藝館のミュージアムショップで買ったこの陶器のコップ。 そしてもう一冊。 『うつくしく、やさしく、おろかなり──私の惚れた「江戸」』(筑摩書房刊) 杉浦日向子さんはかねてより、 「いずれ隠居をする」 と言い言いしていて、実際に30半ば前で本当に漫画の筆を折ってしまいました。 私はその頃「生活する」事に追いまくられていて、なにかと辛い事が多かったので、 「好きな事を十分にやって、それで好きなときにふいっと隠居できるなんて、結構な身分だなあ」 と、羨ましい半分、口惜しい半分でそのように思いました。 この本に、筑摩書房編集部の松田哲夫氏が寄せたあとがきを読んで、そうではなかった事がわかりました。 血液の免疫系の難病であったため、ハードな漫画家生活を続けられず、筆を折ったという事でした。 その病がようやく落ち着いた頃に、下咽頭癌が見つかって手術。 まるいお顔で、酒呑みで、とても病気を抱えているようには見えない人だった。 日本橋の呉服屋のお嬢さんに生まれて、暮らしを立てる事にがつがつ躍起になる必要は無かったと思うが。 つよく、ゆたかで、かしこい現代人が、封建で未開の江戸に学ぶなんて、ちゃんちゃらおかしい。私に言わせれば、江戸は情夫だ。学んだり手本になるもんじゃない。死なばもろともと惚れる相手なんだ。うつくしく、やさしいだけを見ているのじゃ駄目だ。おろかなりのいとしさを、綺堂本に教わってから、出直して来いと言いたい。 本の題名になった、岡本綺堂についての「うつくしく、やさしく、おろかなり」という一文を、こんなふうに締めている。 ノスタルジーやセンチメンタルとは一切無縁。 杉浦日向子が見ていた「江戸」とは、こういうもんだったのだ。
by red_95_virgo
| 2006-08-26 23:35
| book
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Comments(8)
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tomopon
at 2006-08-27 11:01
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杉浦日向子さんは、私にとって、一つの憧れでした。毎週「お江戸でござる」でお話を聞くのが楽しみで。
省みて、自分の生き方どうなのよ、とは思いますが、せめて酒の呑み方は心得ていようかと。
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まつこ
at 2006-08-27 11:20
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私の家族は父と兄がお酒がとても弱く、母と私が強かったので「女子供は酒を呑むな」はピンときません(笑)。
七箇条は潔いですね。自分自身と呑むという姿勢のようで。 陶器のコップ、可愛くて使い勝手が良さそうですね~v 杉浦日向子さんは血液の免疫系の難病だったのですね。 奇しくも、私も軽症ですが同じような持病を持っているのでビックリしました。 まるいお顔はお薬の副作用だったのかもしれませんね。 「お江戸でござる」の講釈は気取らずにわかりやすくうちの両親にも好評でした。
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カタリーナ
at 2006-08-27 12:01
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私もちょうど杉浦日向子さんの「一日江戸人」を読んでいるところでした。
日向子さんのお話は、歴史じゃないんですよね。 家から一歩外へ出たら、あるいはちょっと電車に乗ったら江戸へ行けるんじゃないかっていう、 そういう近しさを感じさせてくれます。 「正しい酒の呑み方七箇条」は、こんなふうに飲めたら幸せだろうなと思いました。 「酒呑み」という言葉には、ちょっとネガティヴなイメージがありますが、 日向子さんは「酒」にも「呑むという行為」にも、敬意を抱いておられたんだな、 酒とご自分との距離感が格好いいなと感じました。 酔っ払って自分を失ったことがないっていうのは、酒を知らないのと同じことかもしれません。 私はまだまだお子ちゃまですね。(苦笑 「だらだらではなく、ていねいに」はちょっと心がけたいところです。
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red_95_virgo at 2006-08-28 17:02
>tomoponさん
酒はねえ、なにかとねえ……(笑)。まあ私も人の事言えやしませんが、酒をなにかのツールにする事は避けたいというか。 やっぱり「おいしい」と思って呑みたいですしね。 それは、必ずしも、酒の質のよしあしだけでは無くて、もちろん質の良いおいしい酒を呑むに越した事はないんですけど、いかなる状況でも、呑むという事そのものを、 「おいしいなあ」 と思えるようになりたいものだなと思います。
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red_95_virgo at 2006-08-28 17:12
>まつこさん
まつこさんのお宅とまったく同じ、うちの母方も女のほうが圧倒的に強くて、冠婚葬祭のときなんかすごいです(笑)。 父方も、祖父が焼酎を密造していたり、祖母が台所で盗み酒をしてたりするような家系なもんで、おかげさまでといいますか、「女が酒を呑む」事についてはまったく抑圧されずに済みました。 日向子さんの病気については、本当に盆暗な事で、まったく存じ上げなかったんですが、病気について書かれたエッセイを今読むと、そこでもやっぱり日向子流の「がんばらない」病との付き合い方をされています。 やたら悲壮になるでもなく、やたら明るく元気に前向きにもならず、ぼちぼち。 この「ほどの良さ」が日向子さんだな、と感じます。
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red_95_virgo at 2006-08-28 17:28
>カタリーナさん
『一日江戸人』、面白いですねえ。 無闇矢鱈にうっとりべったり懐古な人と違って、ちゃんと「今」(の自分)と「江戸」というものの距離感をはかれて、それを見失わずに愉しめるところが日向子さんの良さですよね。 『うつくしく、やさしく、おろかなり』では、リドリー・スコットの『ブレードランナー』の世界観がまさに江戸であるとし、 「未来はむしろどんどん江戸に近づいていくのではないか」 と書かれていますが、私なんかは「そりゃあ暮らしやすい未来になるかもな」とちょっと希望も抱いてしまいます。 七箇条は、五と六は自分には当てはまりませんけど、特に四なんかは、自戒すべき事であるなあ、と反省しきり(笑)。
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red_95_virgo at 2006-08-28 17:42
>あきらさん
エッセイ読みますと、日向子さんの考え方、ものの見方って結構ドライと言いましょうか、むしろ「きつい」ぐらいの感じを受けました。 漫画表現では、ここまでのきつさは感じられないですし、講演の口調もやわらかいんですが、それを裏打ちするのは実はこうしたストイックさ、言い換えれば「覚悟」みたいなものかなとも思います。 都合良く、江戸の良い面、きれいな面だけを見て、汚い面、暗い面を見ようとしない「江戸ブーム」とそれに乗っかる人たちを真っ向から斬って捨てるこの口調は、惚れ抜いた人ならではの矜持と潔さがあるなと感じます。 『耳かきお蝶』、題名しか知らなかったのでちょっと調べてみました。面白そうなお話ですね。夏目房之介氏が絶賛してますね(笑)。 絵柄が私の好みではないんですが、機会があったら読んでみたいと思います。ありがとうございました。
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