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2006年 02月 12日
夕方のニュースを観ていたら、素っ裸に真っ白なサラシの褌をきゅっと締めた大量の男たちの映像が唐突に流れました。
半裸の男が神輿をかついだり海に飛び込んだりする光景は、この国じゃどうという事も無く当たり前ですが、なんだか異様な雰囲気の映像。 愛知県稲沢市にある、尾張大國霊(おわりおおくにたま)神社が、毎年旧暦正月13日に行っている、 「儺追神事(なおいしんじ)」 通称「はだか祭り」 と呼ばれる奇祭の光景でした。 はだか男の集団を見守るべく、なんと、14万人の人が参集したんだそうだ。 「儺追(なおい)」という言葉はあまり聞いた事がありません。 が、ひっくり返せば「追儺(ついな)」 で、これはお馴染みですよね。 もともとは宮中で大晦日に行われていたという「鬼やらい」の儀式。節分の豆まきは、この「追儺」が変形したものと言われています。 それをひっくり返した「儺追」。いったいどういう祭りなのか? まず、「神男(しんおとこ)」 と呼ばれる儺追人(なおいにん) を籤によって選ぶところから始まります。 神男は髪を切って坊主頭になり、神事の3日前から儺追殿(なおいでん) と呼ばれる場所に入って、三日三晩のお籠もりをします。 これが、追儺や節分に於いての「鬼」にあたるもののようです。 が、「神」という文字を戴くだけに、彼はただ単に忌み嫌われ追い払われるばかりの存在ではない。 儺追殿にいる間、彼は、神事そのものに参加出来ない人(女性とか老人とか)の拝礼を受けます。つまり、ふだんはごく普通に生活している男性が、その期間だけ生き神様になるわけ。 祭り当日、境内に参集した裸男たちは、この神男に触れる事によって、自分たちのすべての罪や穢れを祓う事が出来ると信じています。 神男は、いつ、どこから境内に姿を見せるのか、明らかにされていません。 ですので裸男たちは皆、目を血走らせています。 彼らの間では、「去年はここから出たが」「今年はここが臭いと思う」といった情報が飛び交っているのではないかと推察されます。 錯綜する情報。信頼。そして疑念。 そんなものを抱えながら、神男を待つ間、立春過ぎたといってもまだ真冬の寒さの中で、手桶で水をかけられながらじっと待ち続ける裸男たち。 御神事に向かってこんな事言っちゃあ罰が当たるかも知れませんが——そうやってじりじりしながら彼らは、一寸刻みにエクスタシーを高めていっているんだなあ、と、ニュース映像からもそれは十分に感じられるのです。 神男が現れるや裸男たちは彼に向かって殺到し、どうにかして神男に触れようとする。 触れると、その年は良い事があると信じられているそうです。 神男は、そういう男たちに揉まれ蹂躙されつつ参道を行き、すべての厄災を身に負って、殆ど担ぎ込まれるような状態で儺追殿に入り、入った時点で儺追神事は終了。 この時の映像がなまなましいったら無い。 神男の体は、無数の人に触れられ叩かれ揉みくちゃにされて、真っ赤に腫れ上がっている。引っ掻き傷もいっぱいついている。締めていた褌もいつの間にか外されて、素っ裸になっている。 神男をやる人って、この間いったいなにを考えているのか。 やはりそれも、「エクスタシー」だったりするのか。 どのみちハードな職務には違いありません。 「おしりに触りました! 今年はいい事がありそうです!」と満面の笑みで取材に応えるおとうさん。 ああ、裸の男のおしりに触って、なんて幸せそうなのおとうさん。 祭りというものは本来生と死が隣り合わせるものではあるが、この神男というのは、華奢で弱々しい人がうっかり選ばれてしまったら神事の最中に命を落としかねない、いや、実際落としてしまった者だっていたのではないか、ていうか本来の意味は罪穢れを背負わせてから殺す「生け贄」というものではなかったか。 儺追と追儺というものの意味を考え合わせると、そういう事も、するっと信じられる気がします。 昔、鬼やらいで「鬼」に扮して、群衆に礫で以て追われる役目をした者は、散所と呼ばれる場所の出身者が多かった。かの大江山の酒呑童子も、もとはそうした役目を請け負う者だった——といった内容の小説を読んだ記憶があります(タイトル失念しました)。 散所の者だから、群衆が祭りに興奮してしまってうっかり打ち殺してしまっても、どうという事は無かった。というか、そのために散所の民から「鬼」を選んだ。 そんなような事も、書かれていたように思います。 以来、自分は節分が来ても、豆まきはしていません。 さて、尾張大國霊神社。 神男が儺追殿に入ったその翌日の午前3時に、 「夜儺追(よなおい)神事」 というものが行われます。 はだか祭りばかりが奇祭としてフィーチャーされているものの、この夜儺追神事こそが、そもそも奈良時代に発祥した神事の本義なんだそう。 天下の厄災を搗き込んだ土餅(どべい) (外側は灰をまぶされて真っ黒になっている)を神男に背負わせ、神社から追放するのです。追放された神男は、家に帰る途中でその土餅を捨て、神職がそれを土中に埋めて、そこで漸く「穢れを祓う」事が出来る。 更にこのあと、「的射(まとい)神事」 という、「山」「谷」「星」の的を矢で射る儀式を斎行して、一連の神事が完成するらしいのですが。 すごいですよね。 いや、裸男もなにかといろいろとものすごいけれども(笑)、祭りのシステムそのものがすごく良く出来てるなあと思うの。 ミステリアスでありエロティックでありファナティックであり、きっちりと犠牲を伴いながらエンターテインしつつ、「穢れを祓う」という重要な事を敢行している。 こういう有無を言わせぬ完璧なシステムが奈良時代から連綿と続いてきている、そういう国に生きているというのも、なかなかすごいなと感じます。 私は寡聞にしてこの祭りの事をこれまで知らなかったんですが、調べながら、かなりどきどきしてしまいました。 まずいよ。来年は現地に行っちゃうかも知れないよ(笑)。
by red_95_virgo
| 2006-02-12 22:39
| 蓬屋日月抄
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Comments(4)
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tonami
at 2006-02-12 23:43
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redさん、すごいです。地元愛知県民の私より詳しいですよ!地元民、近すぎて無知だったりします(苦笑) 地元では神男が決まったことからニュースになりますね。最近ですが群集に揉まれて亡くなった方があり(神男ではないですが)祭りのあり方が論議されました。近隣の市町村は持ち回りで奉納の餅つきをします。数年前に我がK市も担当しましたが、何故か旦那の職場が餅つき会場に選ばれ、それはそれはエライこっちゃでした(笑) いやぁ、勉強になりました。私も来年は現地に行っちゃうかもしれません。
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red_95_virgo at 2006-02-13 13:06
>tonamiさん
地元の方からはだか祭りネタにコメントを頂けるなんて、光栄でございます(笑)。 詳しいどころか、昨日ニュースを観てから神社のHPで勉強しただけなので、お恥ずかしい……。昔、NHKで放映された『太陽の道』というドキュメンタリーがきっかけで、日本の太陽信仰というものにちょっと興味を持ちまして。 儺追神事にも「鏡餅」や「的」といった太陽のシンボルがちゃんとセットされてますし、神男も(たぶん)古い太陽の象徴で、それを儺追殿に追い込み、罪穢れを背負わせて追放→新しい太陽の誕生、みたいな意味があるのかしらと、かなりワクワクしちゃいました。 裸男のもみ合いは江戸時代からだそうですが、やっぱりあの状態じゃ死者が出るのも無理ないですよね。不謹慎かも知れませんが、死を排除した安全な祭りは、既に祭りとして機能しないような気もしますし……難しいところですね。 それにしても、旦那様の会社であの巨大鏡餅を搗いたんですかー。写真で見ると「なんじゃこりゃー!」みたいなものすごさですよね(笑)。あれを実際に搗く時はそりゃあ大変だったでしょう。でも、その地域密着な感じもいかにも尾張総社、国つ神を祭る國府宮のお祭りって感じで、良いですね。
いやぁ、勉強になりました。
会社の上司が毎年「この日ははだか祭なので休みます」といって参加しています。 が、テレビに映るような場所には「絶対にいない」そうです。 参加することに意義があるのか・・・ 翌日には紐を配っています。 ただの綿の紐(というか布を裂いた切れ端)なんですが、財布などに入れて持ち歩くといいそうです。 何がいいかは全然わかりませんがとりあえず貰います。 で、何時の間にかどこかへ行きます。 嗚呼、ありがたやありがたや~
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red_95_virgo at 2006-02-16 01:54
>やぶさん
またいらしてくださって嬉しいです。はだか祭りの記事にコメントも嬉しいです(笑)。 「毎年この日は仕事よりもはだか重視!」とは、これまたなんて男らしく素敵な上司様でしょう! 私も会社員時代、そういう上司に恵まれたかったです。翌朝に配ってくださる「紐」というのは、厄よけの御守り「なおいぎれ」の事でしょうか? 神男が、 「厄は俺が受ける!」 との祈りを込めて裂いたものだそうですよ。ありたがやありがたや。
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