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2006年 01月 07日
『新選組!! 土方歳三最期の一日』は90分で語られるドラマで、物語は、というか土方歳三は、おおよそ30分ごとに変化していく。そんなような法則が、どうやらあるみたいです。
永井尚志に榎本武揚の降伏の意思を告げられ、驚愕し憤る、「死に場所を求めて闘っている」土方。ここまでで約30分。 次に、降伏を止めさせるべく直談判に赴き、そこで榎本武揚と会話を交わした結果、「生きる事を、夢を諦めない」という思いに目を開かれるまでの30分。 更に、「生きるために勝つ」策を練り、出陣し、あっけない死を迎えるまでの30分。 それぞれの30分に、それぞれ異なる、魅力的な土方歳三がいました。 非常に清新な土方を、このドラマで見せてもらいました。 40過ぎの役者が演じる、お約束通りの「重厚で立派な土方」には、こうした初々しくみずみずしい、新しい土方のイメージをつくる事はまず無理でした。そしてまた、山本耕史さん以降のどんな役者にも、二度と表現出来ない土方であろうと思います。 『最期の一日』は台詞がすごく多いらしいという噂を聞いた時、あんまりお喋りな土方なんか見たくねえなあと思いました。 確かに台詞の量は非常に多かったけれども、決して「お喋り」ではなかった。土方も榎本も、無駄を嫌う二人だけに、あっても無くても良いような言葉は一つも吐いちゃいなかった。 これまでどちらかといえば「解る奴だけ解ってくれりゃそれでいい」だった土方が、時にやり込められて傷つき、怒りを露わにしながらも、自分というものを言葉で表現し伝えようと苦闘する。 榎本の言葉に耳を傾け、苛立ちながらもなんとかそれを理解しようと努める。嫌っていた葡萄酒とチーズのサンドウィッチを、「知る」ために口にしてみたように。 「とりあえず一杯やんなよ。知らねえものは一度は試しておかねえと、了見を狭くするよ」知らないものを知ろうとする。眉間に皺寄せて、死ぬほどイヤそうな顔で、それでも拒まないで。 そんなふうに、榎本に歩み寄って行く土方の姿は、実にかわいかったです。 並みのドラマだったらもっとスムーズにかっこよく散華出来る筈なのに、土方も、まさか瀬戸際でこんな成り行きになるとは思ってもみなかっただろうなあ。私だって箱館の、しかも明日は死ぬという夜の土方歳三を 「まあ、なんてかわいい」 と思える日が来るだなんて、予想だにしちゃいなかったよ。 「君は嫌かも知れないが、私らは似ているのさ」博識でエレガントで食えない男・榎本武揚。 彼はどちらかといえば山南敬助、伊東甲子太郎といった、土方がこれまで苦手と思い込んできた部類の男かも知れない。使える能力だけ利用させてもらって、あとは渋々歩調を合わせながらも、土方のほうで意地を張ったり辛く当たったりして。 そんな事を繰り返した挙げ句、山南を失って、失って改めて己の愚行に唇を噛んだりして。 言葉なんか無くとも解り合える、幼馴染みの近藤との間にあったような居心地の良い(悪く言えば「馴れ合った」)関係は、榎本には通用しない。彼についうっかり近藤を重ね合わせて見てしまった事だって、恥を忍んで打ち明けたのに、 「当たり前だ。私は榎本武揚だ」そんな見当違いの感傷はきっぱり退けられてしまう。 この榎本の台詞はすごく良かったなあ、意地が悪くて、誇り高くて。 土方歳三という人は(末っ子という生まれも手伝ってか)自分の上に立つ人間がいてくれて、そこで初めて安心して力を発揮出来る人かと思う。天賦の才も、カリスマとしての華も、誰よりも持っているくせに、ここ一番という時になにもかものみこんで重心を真っ直ぐに落としてどっしり構えているという芸当はたぶん不得手。やはり城を守り固める人ではなくて、単騎で撃って出る人なのだ。 榎本は、土方をリアリスト、自らを「間抜けなロマンチスト」と呼ぶが、それ以前に「私らは似ている」と口にしているように、どこか深いところで共通するものがあるのを知っている。 土方も、反発しながらもそれを解っている。だから言葉や態度と裏腹に、どうしようも無く榎本に惹かれてしまって、またそれがバレバレときてる。 「俺はもう一人の馬鹿なろまんちを、日本一の侍にするために人生を費やした。どうやら、そのろまんちとやらに付き合うのが性に合ってるらしい」ロマンチストという体質は、ほとんど力業ではないかしら、と思います。 夢見がちであり続けるために精神や肉体が負う傷は半端では無い。それを乗り越えてなお夢を見続けるには、尋常じゃないエネルギーが要る。 近藤はそういう人間で、榎本もそういう人間で、土方もまたそうだ。 芹沢は違った。そして山南も。 芹沢も山南も、幕末という熱い時代の中で一人のロマンチストでありたいと、おそらくは望んだ事だろう。そして、そうあろうと精一杯努めた事だろう。けれども彼らは夢見がちであり続けるにはあまりにも弱く、そしてロマンの前に立ちはだかるあれやこれやが見え過ぎてしまって、それゆえに己の限界というものを自ら定め、そこで線を引いてしまった。 「俺たちは大事な事を忘れていたようだ。諦めない、って事だ」「絶対に諦めない心」がロマンチストに必須の資質なのだとしたら、諦念という闇から遂に逃げ切る事の出来なかったリアリストが芹沢であり山南だったかと思う。彼らは、近藤や土方といったロマンチストたちの「夢を見る力」に食われて死んだのかも知れない。 「鬼になれよ近藤。鬼になって俺を食っちまえよ。遠慮は要らねえよ」京から遙か隔たった北の地で、榎本と土方のロマンチスト談義を聞いていて、どうして芹沢鴨と山南敬助の事なんか思い出してしまうのか。それは『新選組!』と『最期の一日』というドラマが紛れも無く地続きで、『最期の一日』を考えるという事は畢竟『新選組!』を考えるという事になるからです。 そして、そんなふうな寄り道をしない事にはものを考えられないのが私という人間なのでございます。 困った。なかなか先へ進めん(笑)。 (とっちらかったまままたしても続く)
by red_95_virgo
| 2006-01-07 04:08
| 新選組/新選組!/新選組!!
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Comments(2)
Commented
by
カタリーナ
at 2006-01-09 00:43
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ようやくネタバレ満載ムックを読み終え、その後2回も再視聴してしまいました。
見れば見るほど味が出る、まるでスルメのようなドラマ。 >『新選組!』と『最期の一日』というドラマが紛れも無く地続きで 同感です。続編であり、単発ドラマであるはずなのに、 あれは紛れもなく大河の第50回でもありました。 鉄之助が多摩へ帰ることで、全てが帰結するというか、 全部繋がって「輪になった」感じがして…。 それからレッドさんの感想、いくつでも待ってますよ!
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Commented
by
red_95_virgo at 2006-01-09 12:42
>カタリーナさん
私も初回含めて3回ぐらいリピートしまして、BSでの放映も改めて観て、そのたびに泣きました(笑)。ムックを読んでから視聴すると、またちょっとドラマの見方が変わりますね。事実、感想を書いてる時点で既にこの本のデータが自分の中に入っちゃってるので、まっさらの第一印象がどんどん遠くなる感じがします。最初に出会った時の感覚を優先して書くようにしたいなあと思うんですが、なかなか難しいですねえ。 >あれは紛れもなく大河の第50回でもありました。 ですね。ただ、49回の直後にこれが放映されたのではなく、1年という時間をおいた事、ドラマに出てくる葡萄酒じゃないけど、私たちの中で物語が自然に発酵する時間を与えてもらった事が。とても良かったと思います。 感想は……なんとかあと1個で終わらせます(笑)。
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