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2005年 07月 04日
拷問具のような闇色の服に身を包み、髪をひっつめた能面顔の天海祐希が、編み上げ靴の踵を鳴らして薄暗い廊下をゆっくりと歩いてくる。
この導入にまず惚れました。 「この物語は 悪魔のような鬼教師に 小学6年の子供達が戦いを挑んだ 一年間の記録」なのだそうです。 きゅうっと締め上げたウエスト、足首までくるみ込む靴、首筋をちらとも見せぬタートルのインナー。 肌の露出は極端に抑え、そのくせ体のラインは過剰に強調する。 「阿久津真矢」というキャラクターを怖ろしい存在として立ち上がらせるためには、まずなによりも彼女が美しくあらねば説得力がありません。 怪物めいた異常なパワーと子供らを高みから見下ろす息苦しいほどの威圧感。たとえどれほど優れた演技力を持っていようと、ちまちまとした容姿の女優さんが演じたのでは台無しです。いっそ、綺麗で巧い男優に女装させて演じてもらったほうがどれほどか良いだろう、というようなキャラクター。 阿久津が美しくなければ、 「愚か者や怠け者は差別と不公平に苦しみ、賢い者や努力した者は、いろいろな特権を得て、豊かな人生を送ることができる。それが、社会というものです」 こんなアグレッシヴな台詞(しかし到って正論ですが)書いたって意味がありません。 天海祐希さんという、長身の美しい肢体を持った女優さんを得て「阿久津真矢」を肉体化したという点で、まずこのドラマは評価出来るでしょう。 ただ、ついこないだ終わったばっかりの『離婚弁護士』での陽性なイメージが消えないうちに、こうしたダーティーヒロインを演じる事になった天海さん、これはかなりの冒険かも。 正直こちらも戸惑う箇所はいくつかあります。 たとえば教室で子供らを説諭する阿久津はどう見てもクライアントを前にした間宮貴子だし(笑)、物語にようやく入り込み始めたところで、エンドロールににこやかな表情でキレのいいダンスを見せる天海さんが出てくると、ほっとするよりずっこけてしまったり。 阿久津真矢が子供たちに与えるいわば「餌」である、 「人も羨むような幸せな暮らしができるたった6%の人間」 というもの。 では教職を選んだ阿久津自身はどうなのか。 阿久津という人間は、年齢もバックグラウンドも、謎に包まれたままです。 「鬼教師」とはいえ彼女は生身の人間であり、おそらくは彼女がどうして「鬼教師」となったのか、そのあたりはこれから先の展開で、徐々に明かされていく事でしょう。 ああそれから、美少女キャストが揃っているという点でも、たいへんに結構なドラマかと。 神田和美役の志田未来ちゃんは、すっとぼけた顔も怯えた顔も追い詰められた顔も、どれもチャーミング。 和美のお姉さん・優を演じるのは『エンジン』のユキエこと、夏帆ちゃん。今度は打って変わって優等生のメガネっ娘という役どころ。この姉妹がまずかわいい! それからやはりなんといっても進藤ひかる役の福田麻由子ちゃんです。 『ラストプレゼント』で母娘を演じて以来、天海さんとは再度の共演となる麻由子ちゃん。『ラスプレ』では、非常に強い光を放つ眸と、内心の淋しさを覗かせながらも孤高であり続ける佇まいにすっかり殺られてしまいました。 (『北条時宗』のビデオ観返してたら、渡部篤郎の娘役も演っていた麻由子ちゃん。この頃はまだちっちゃかった) 第1回のハイライト——と書いてしまっていいのか、「トイレは休み時間に済ましておく」という阿久津の課したルールを忘れた和美が、テスト中におしっこを我慢できなくなり、それに気づいたひかるが阿久津に反抗して、彼女に付き添って教室の外に出る、というシーン。 和美はトイレに間に合わず、廊下でおしっこをもらしてしまうのです。 それを見てしまうひかる。 同様の経験が私にも実はある。私は「見ちゃった」ほうだったけど。 「おしっこをもらす」なんてのは、まあ子供の頃ならそんなに珍しくないエピソードでしょう。 でも、年頃の女の子どうしの間で起こるとなると微妙です。 ぺたんと座り込んだ和美の足の間、スカートの下からリノリウムの廊下にひろがるおしっこ。 そこに一粒落ちる、彼女の涙。 土曜日21時台のドラマで、女の子の子役を使ってこんなものを表現して良いものか、いや私は大好きだが(笑)堅い筋からはクレームが来るのじゃないかと、ちょっとどぎまぎするようなシーンでした。 ★『女王の教室』公式HPはこちら。
by red_95_virgo
| 2005-07-04 00:36
| tv
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Comments(2)
Commented
by
葉
at 2005-07-04 08:47
x
おはようございます。足の痛みはその後大丈夫でしょうか。 レッドさんの色んな話で 理解しがたいふしぎな現象があることにびっくりします。
さて、天海さん 大柄な女優さんはにがてなんですが、 (伊藤美咲さんなど、かわいいけど タイガードラゴンでのお台場での北村さんとのシーンで、北村さんより背が高く見えて彼の肩を上から押さえてるようで いやでした) さばさばしてるのにキュートできどりがなく 大好きです。 「連弾」でみせた可愛い彼女と もうすぐオールバックのお父さんになりそうな北村さんの押す 引くの演技が思い出されました。 「光源氏」も違和感なかったですが この役はいつか北村さんに是非 演じてほしい・・衣装がどんなに似合って美しく ラブシーンも平安の世に合った優雅でなまめかしくて と妄想します。 日活ロマンポルノふうとすでに評されてる「濡れた赤い糸」よりいいんだけどなあ。でも ふしぎな感覚の作品ともいわれています 赤い糸。
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Commented
by
red_95_virgo at 2005-07-04 17:31
>葉さん
こんにちは。ご心配、恐縮です、ありがとうございます。もう大丈夫です(笑)。 天海さんですが、私はタカラヅカ時代を知りませず、舞台も拝見した事ないのですが、『利家とまつ』あたりから良いなと思い始めました。北村さんと共演した『水曜日の情事』、さばさばした天海さんと、ちょっとフェミな北村さんの対比が面白かったですね(笑)。 そして、おお、「光源氏」ですか! 北村さんの「光る君」というのはちょっと想像していませんでした私。でも鎧武者の装束があれだけお似合いだから、直垂や直衣などもさぞステキでしょうね。六条御息所や夕顔、朧月夜辺りとのラヴシーンも、うふふ。 私が個人的に北村さんにいつか演じて欲しいのはレディ・マクベスです。キレイだろうなあ……絶対はまると信じています(笑)。
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